あの頃嫌いだった上司に、僕はなっていた|50代管理職のリアル

10年前、僕はこう思っていた。 「年上の部下って、正直やりづらいな」

10年後の今、僕はこう思っている。 「年下の上司って、正直やりづらいな」

時代の変化というのは、時に残酷だ。

かつて自分が苦手だった立場に、いつの間にか自分自身がなっている——役職定年やキャリアの節目を迎える50代なら、一度はこんな感覚を味わったことがあるのではないでしょうか。

実は、「50代社員」に対する評価は、世代によって驚くほどズレていることが調査でわかっています。周りから見えている自分と、自分が思う自分は、必ずしも一致しません。

この記事では、なぜ50代になると「あの頃嫌いだった上司」に近づいてしまうのか、そして世代間の評価ギャップの実態を、実際の調査データとともに解説します。

読み終える頃には、「自分だけがおかしいわけではない」と、少し肩の力が抜けているはずです。

目次

気づけば、あの頃の上司と同じことをしていた

デスクで考え込む50代管理職のイメージ

新人の頃、僕にも「苦手な上司」がいた。仕事中、しょっちゅうネットサーフィンをしていた上司だ。「楽そうでいいな」と、心のどこかで思っていた。

40代になった頃、今度は別の上司についた。その人は、僕よりもずっと真面目に働いていた。それでも当時の僕は、「いつでも代わってやれるくらい、自分の方が働いている」と思っていたのを覚えている。

そして今、自分が上司という立場になった。

正直に言うと、居心地のいいポストではなかった。若い頃に苦手だと感じていた上司たちの姿が、ふとした瞬間に自分と重なる。ネットサーフィンこそしないが、「部下からはどう見えているだろう」という不安は、当時の自分には想像もつかなかった感覚だ。

世代間で評価はズレている?「50代社員」への意識調査から見えること

20〜40代と50代における「50代社員の強み」評価の比較グラフ(フォー・ノーツ株式会社調査)

「自分は周りにどう評価されているのか」を客観的に把握するのは、簡単なことではありません。

フォー・ノーツ株式会社が実施した「50代社員に関する意識調査」(2021年9月、20〜40代300名・50代100名を対象に実施)では、世代によって50代社員への評価に差があることがわかっています。

たとえば、「組織をまとめあげる強いリーダーシップ」という項目では、20〜40代の64.0%が50代の強みとして挙げた一方、50代自身でそう答えたのはわずか43.0%。その差は21ポイントにのぼります。

さらに、「自分の強みとして特にない」と答えた50代は29.0%。20〜40代(22.7%)よりも6.3ポイント高く、50代自身が自分の価値を低く見積もっている様子がうかがえます。

一方で、「豊富な経験に基づく、的確な判断力と危機管理能力」については、20〜40代(72.3%)と50代自身(68.0%)の評価差は4.3ポイントと、比較的小さいことも同じ調査でわかっています。つまり、周囲も本人も「判断力」自体は50代の強みだと認めているのに、それを「自分の強み」として言語化できているかどうかには、大きな差があるのです。

なぜ50代は、自分の強みを低く見積もってしまうのか

この現象の背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 年下の上司や若い部下との関係の中で、遠慮や気遣いが先に立ってしまう
  • 「今どき」のマネジメント手法についていけていないという焦り
  • 役職定年などで肩書きを失い、自信の拠り所がなくなる

僕自身、「年下の上司ってやりづらいな」と感じたとき、真っ先に浮かんだのは「言いたいことを飲み込む自分」でした。かつての上司に反発していた頃の自分からは、想像もできない変化です。

ただ、裏を返せば、これは「相手の立場を想像できるようになった」ということでもあります。判断力や危機管理能力への評価が世代間でほとんどズレていないのは、伊達ではありません。

まとめ:評価されているのに、自分では気づきにくい

「あの頃嫌いだった上司」に自分がなってしまうのは、決して珍しいことではありません。世代間の意識調査を見ても、50代の判断力や危機管理能力は、若い世代からもきちんと評価されています。

問題は、その強みに本人が気づきにくいということ。リーダーシップや「自分の強み」への自己評価の低さは、実力の裏付けがないからではなく、遠慮や時代の変化への戸惑いから来ているケースが多いのです。

次の記事では、「管理職は罰ゲームなのか」というテーマで、管理職になりたがらない若手の本音と、その板挟みになる50代のリアルを取り上げます。

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